6月で10年

はじめまして。

10年前、雨上がりのカフェの駐車場。

初めて会う彼の黒のSUVに近づく。

背もたれを倒してのんびり私を待っている彼。

畳んだブルーの傘を少し前に出して、

車の運転席を覗き込んだ。

びっくりした様に私を見る彼。

気恥ずかしさを感じながら、サラッと

「はじめまして」と自己紹介をした。

カフェでお茶しがてら、たわいない話をして、

さよならをする。

彼は好きな家電量販店へと歩いて行った。

淡いサーモンピンクのブラウスと

ショートパンツ、お気に入りのサンダル

彼に気に入ってもらおうと

いっぱい悩んで選んだ服だった。